子犬が突然家の中を走り回る、狂ったように暴れるなどの行動に悩む飼い主さんが多くいますが、正しいしつけや対策を行うことで、このような子犬の行動は抑えることができます。
子犬が走り回るのは、犬としてごく当然の行動ですが、ときに飼い主さんが制御できないと大変なトラブルにつながることがあります。
そこで、今回は子犬が走り回る理由や効果的な3つのしつけ方法、対策などについて、ドッグトレーナーが詳しくご紹介します。
走り回る子犬に行いたい3つのしつけ
子犬が走り回ること自体に問題はありませんが、走り回ってよい場所か、走り回ってよいタイミングかがポイントになります。
飼い主さんの言うことを聞かずに、子犬が走り回ってしまう場合は、まず上下関係の構築をするためのしつけを中心に行いましょう。
愛犬と上下関係の構築を行う
愛犬と適切な上下関係を築いて、飼い主さんが子犬を制御できるようにすれば、子犬が突然家の中を走り回るときにやめせられます。
具体的には、上下関係を構築して、子犬がふさわしくない状況やふさわしくない場所で走り回るときに、飼い主さんのコマンド(指示・合図)に子犬が従うようにすることが大切です。
子犬と上下関係を構築する方法
最近では、ドッグトレーナーによって上下関係の構築という概念自体が古いという考え方をする方も多くなりましたが、上下関係は飼い主の言うことを全て子犬に従わせるというものではありません。
人が子どもを育てるようなイメージを持っていただけると分かりやすいのですが、人と暮らす上で、良いことと悪いことの判別を教えてあげることができるような敬愛される飼い主になることが、上下関係の構築のポイントです。
育児のように、まずは家族全員でルールを決めて、だめなことと良いことを決めておきましょう。
その上で、子犬がだめなことをしたときは「だめ!」・「No!」としっかりと叱る、良い行いをしたときはしっかりと褒めることが上下関係の構築に役立ちます。
その時々によってダメなことと良いことが違うと子犬が理解できないため、まずは子犬との「信頼関係=上下関係」を築くことができるように日々子犬に接することが大切です。
また、走り回る頻度が多い子犬の場合は、以降でご紹介させていただく、基本のしつけやアイコンタクトも上下関係構築に重要となるため合わせて行ってください。
待て・座れ・伏せなどの基本のしつけ
待て・座れ・伏せなどの基本のしつけは、子犬が走り回ったときに、子犬を落ち着かせるのに役立ちます。
その他、これら基本のしつけを行うことで、子犬が走り回ったときに飼い主さんのコマンドに従うための上下関係の構築にも有効ですので、是非試してみてください。
待て・座れ・伏せなどの基本のしつけ方法
<待てのしつけ方法>
子犬の前に子犬が好きなおやつを置きます。このとき、子犬がすぐに食べようとしたらおやつを回収して、再度おやつを子犬の前に置き、「待て」というコマンドで子犬を待たせます。
子犬が動いた時点でおやつを再び回収して、少しでも待つことができたら「OK!」・「よし!」と言って、おやつを与えて褒めます。大げさな程に褒めてあげると学習しやすいので、褒めるときは思いっきり褒めてあげましょう。
はじめは、短時間でも待つことができたら、おやつを与えて褒めますが、徐々に時間をのばしていき、10秒程度待てるようになるまで繰り返し待てのしつけを行いましょう。
なお、子犬は集中力がもたないので、5分程度のしつけを1日3回程度、毎日繰り返して行うことが大切です。
待つことができたら良いことが起こる、ということをしっかりと理解させてあげましょう。
<座れのしつけ方法>
座れのしつけでは、まず愛犬の鼻先でおやつの匂いを嗅がせます。このとき、犬用チーズなどの嗜好性や香りの強いおやつを使用すると、学習しやすいのでおすすめです。
子犬がおやつの匂いを嗅いで興味を示したら、「お座り」と言いながら、おやつを持っている手をゆっくりと上に持ち上げます。
このとき、子犬の腰が落ちるように、子犬の鼻先から真上に、おやつを持った手で誘導することが大切です。
このようにすることで、子犬は腰を下ろして「お座り」の姿勢になるため、お座りの姿勢になったら、タイミングを逃さずおやつを与えて、十分褒めます。
アイコンタクトをしっかり行う
子犬が突然家の中を走り回るときや、狂ったように暴れるときに、アイコンタクトができれば子犬を飼い主さんに集中させて、落ち着かせられます。
子犬が走り回る理由は様ですが、特に子犬が興奮しているときは他に意識を集中させることが大切ですので、飼い主さんとのアイコンタクトが効果的です。
<アイコンタクトのしつけ方法>
アイコンタクトを教えるときは、子犬が好きなおやつを手に持ち、子犬に匂いを嗅がせて興味をひきます。
子犬が、おやつを持っている飼い主さんの手に集中したら、その手を飼い主さんの鼻の頭(目と目の間)にもっていき、子犬と目があうようにします。
子犬と目が合った時点で、名前を呼んで、おやつを子犬に与えながら十分褒めてあげましょう。
子犬が走り回る5つの理由
子犬が走り回るのには、主に5つの理由があります。理由の多くは、犬の本能的なものですので、叱らずにしっかりとしたしつけや対策を行いましょう。
なお、しつけ以外の対策については、本記事で後ほど詳しくご紹介します。
嬉しいから走り回る
子犬の多くは、飼い主さんが帰ってきたときや好きな場所に行ったときなど、はしゃぐように走り回ります。
ドッグランを中心に他人や他犬に危害がない環境であれば、思いっきり走らせてあげることが大切ですが、家具があるような家の中では危険が生じるので注意が必要です。
便をしたいときに走り回る
子犬に限った話ではありませんが、便をするときに便意が生じることで興奮が高まって、狂ったように暴れる、急に走り回ることもあります。
これは子犬にとっては正常な行為ですので、特に気にする必要はありませんが、散歩中や危険な場所ではリードをしっかりと持ち、制御できるようにしましょう。
また、子犬の消化器官は完全に発達していないため、1日に4~5回以上することも珍しくありません。このようなケースでは、排便を我慢しすぎて、急いでトイレに行くために走り回ることもあります。
その他、便が出きっていない状態(まだ肛門付近に残っている場合)では、違和感から走り回ることもあります。
エネルギーを発散するために走り回る
運動不足の子犬の場合、エネルギーを発散するために走り回ることが多くあります。
このようなケースで子犬にエネルギーが溜まりすぎると、ストレスが生じて別の問題行動がでてしまうケースが多いので、運動不足には十分注意が必要です。
解放感を感じて突然家の中を走り回る
バリケンやサークル、ゲージなどで普段生活している子犬の場合は、外に出ることができた、という解放感から、突然家の中を走り回る、狂ったように暴れることがあります。
また、雨などの理由で家に長時間こもっているケースでも、室外に出ることができたという解放感から走り回ることもあります。
子犬が走り回るときに注意したい3つのこと
子犬が走り回ること自体は、大抵のケースでは犬という生物学上当然のことですが、家の中や危険なものがある場所、他者や他犬に危害を加える可能性があるときには注意が必要です。
物にぶつかることで怪我をする
特に注意したいのが、家の中にある家具などにぶつかって怪我をする危険性です。
子犬は、まだ体も小さく小さな衝撃で骨折したり、脱臼することも多く、目に家具の先端部が当たってしまうと大変です。
子犬が家の中で走り回らないよう、ご紹介させていただいたしつけを行うことは大前提ですが、子犬の生活空間に危険なものを置かないようにすることも大切です。
制御がきかなくなって噛む
狂ったように走り回って、興奮状態に制御がきかずに噛むことがありますが、他にも乳歯が生え変わる時期に痒みを伴うため、甘噛みのリスクも高まります。
制御がきかずに噛むようなケースでは、しっかりとしつけを行うことは大前提ではありますが、乳歯の生え変わる時期に甘噛みをするケースでは、子犬用の噛むおもちゃなどの噛んで良いものを準備しておいてあげることも大切です。
狂ったように暴れるときは病気にも注意!
子犬が狂ったように暴れるときは、分離不安症にも注意が必要です。
分離不安症とは、子犬の住み慣れた場所、飼い主さんや家族などの愛着をもっている人などから長時間、または急に離れることにより、強い不安が生じて様々な問題行動を起こす病気です。
極度の不安から、子犬がパニックに陥って狂ったように暴れるようなこともあります。
この場合は、短時間からお留守番をする練習をするのが効果的です。また、最近では精神面に重点をおいて治療を行っている動物病院もあるため、重度の場合は相談してみると良いでしょう。
走り回る子犬のしつけ以外の対策
子犬が走り回るのは、いわゆる本能であったりごく自然な行動でもあります。
そのため、しつけ以外にも飼い主さんが対策を行うことで、解消されるケースも多いのが特徴です。しつけ以外の対策法としては、子犬に適度な運動を行わせてあげることと、ストレス対策を行うことです。
運動量の多い犬種の場合は、思いっきり走ることができるドッグランなどを活用すると良いでしょう。
また、子犬のストレス要因の多くは、飼い主さんとの不適切な関係性(ってばかりいる等)、運動不足、過度な運動、睡眠不足などですので、日頃子犬にストレスがないか見直してみましょう。
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子犬に適した運動をさせて、正しいしつけを行おう!
今回は、子犬が突然家の中を走り回る、狂ったように暴れるなどの行動に悩む飼い主さんの問題が解決できるよう、しつけ方法や対策を中心にご紹介させていただきました。
子犬が走り回って困るときは、基本のしつけで正しい上下関係の構築ができているか、また運動不足やストレスが子犬に生じていないかについても、再度見直してみると良いでしょう。