一生懸命世話しているのに愛犬がなついてくれない、他の人になつかないのでドッグランに連れていけない、犬が大好きなのに友だちの犬がなついてくれない。
そんな相談をよく受けますが、なつかない犬であっても人が変われば犬はなつくようになります。
今回は、愛犬や他犬になついてほしいと思っている方々に役立つ情報を幅広く紹介します。
人になつかない犬もいる?
結論からお話しすると、人になつかない犬もいます。
しかし、なつかない犬というよりは、以下のような理由でなつかないように感じる飼い主さんが多いのが特徴です。
なつかない犬の特徴は以下通りです。
- 犬種や個体差によって自立心が強くてサッパリした性格の犬
- 保護犬を中心に過去のトラウマによってなつきにくい犬
- ペットショップやブリーダーから迎え入れたばかりの子犬
人になつきにくい犬
しっかりお世話しているのに愛犬がなつかない、という相談も多く受けますが、性格の個体差や日本犬を中心とした犬種による性格、トラウマを抱えた保護犬など人になつきにくい犬がいます。
ここでは、自立心や警戒心が強い犬という意味で人になつきにくい犬を紹介します。
柴犬を中心とした日本犬はなつくまでに時間がかかる
柴犬や秋田犬などの日本犬は一般的に飼い主以外になつかない犬が多いと言われていますが、子犬期に十分な社会化をすればなつきやすくなります。
また、家族として迎え入れたばかりの日本犬のケースでは慣れるまでに時間がかかるので、ゆっくりと関係を築くことが大切です。
飼い主以外の人になつかない傾向にある日本犬は、以下の通りです。
- 柴犬
- 秋田犬
- 九州犬
- 四国犬
- 北海道犬
- 甲斐犬
なお、私も愛護団体から皮膚病の柴犬を預かってお世話した経験がありますが、完全に信頼してもらえた、なついてくれている、と感じ始めたのは半年程度お世話してからでした。
ボストンテリアは意外になつきにくい
一言でボストンテリアといっても性格によって個体差がありますが、一般的にボストンテリアはなつかない犬が多いと考えられています。
一見、明るい性格でどんな人や犬とも仲良くなれそうな犬ですが、ボストンテリアは社交性に優れているというよりは、信頼できる人に対して心をオープンにする犬が多いのが特徴です。
飼い主はもちろん、自宅によく来る人やドッグランなどで頻繁に会う人や犬には心を開きやすいのですが、そうでない人にはなつかないことがあります。
白黒ハッキリとしている性格の犬が多い犬種で、不信感を抱えた相手には心を閉ざしやすいので注意が必要です。
保護犬は全般的になつくまでに時間がかかる
保護犬は、何かしらの事情で家族と引き離されたり、虐待を受けていたりと捨てられた理由は様々です。
捨てられる以外にも、飼い主さんが不幸な事故にあったりと色々な理由で里親に引き取られます。
そのため、非常に複雑な感情を抱えており、もともと人が大好きな犬であっても寂しさや不安、恐怖心から人に心を閉ざしてしまってなつかないケースがあります。
私も、父の動物愛護NPO団体のシェルターにいる犬たちのシャンプーやボディケアのお手伝いをしてきましたが、体にすら触らせてくれない犬や噛み付く犬も多くいます。
しかし、全般的に時間はかかるものの、時間が経過して個々の犬に信用してもらえるよう人が努力して、彼らも愛情を受け止めてくれ、なつくようになります。
もともと虐待を受けていた犬の場合は、人になつくまでに数年以上かかるケースも珍しくありません。
繁殖引退犬の場合はなつきにくいことが多い
繁殖引退犬を保護のような形で引き取る方もいますが、保護するまで一緒にいたブリーダーの接し方によって、保護犬同様に簡単になつかない犬も多くいます。
悪質なブリーダーのケースでは、食事と排泄、繁殖以外はほとんどお世話しないことがあるので、そういったケースでは人に簡単になつかないのは当然です。
このようなケースでも、保護犬同様に時間と愛情をかけて関係を構築するところから始めましょう。
犬がなつく人の特徴は?
「うちの子、人見知りなのに~さんには初めからなついた」という話をよく耳にしますが、犬がなつきやすい人というのは本当に存在します。
これは、犬がなつく人の特徴について紹介しますので、犬が好きな方はぜひ参考にしてください。
落ち着いて犬と接することができる人
犬にも人と同じように好き嫌いがありますが、落ち着いて犬と接することができる人になつく犬は多いのではないでしょうか。
ドッグランで急に人が近づいて触ってしまい、驚いてしまい逃げる犬をよく見かけます。
このようなケースでは、マナーとしても好ましくありませんが、犬の驚きや恐怖心を踏まえるといずれにしても好ましくない行為です。
犬が好きだからこそ他人の犬を可愛がりたくなりますが、意外に他の犬が近づいて匂いを嗅いでこない限り触らないという方の方が犬の人気を集めやすいのです。
犬にとっては、むやみやたらに触られるより、自分から匂いを嗅いだ後に触ってもらったほうが安心感はあるのでしょう。
声のトーンが高くも低くもない人
声のトーンについても犬によって好き嫌いが分かれますが、一般的には低くも高くもないトーンで話す人を犬は好む傾向にあります。
一例として、褒めるときは高い声、叱るときは低い声が効果的ですが、なつかない犬に普段接する上では声のトーンにも気をつけると良いでしょう。
精神面の安定している人に犬はなつきやすい
当たり前のことですが、怒っていたり泣いていたりと、感情の起伏が激しい人に犬はなつかない傾向にあります。
犬は歴史的に人との関係を大切にして生きてきた動物で、個体差があるものの家族という1つの群れを大切にします。
一方で、人が考える以上に繊細に人の感情を読み取ったり察知したりするため、飼い主の精神面が安定していないとなつかないだけでなく、犬は幸せではありません。
YouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」によると、2017年に実施された動物の認知に関わる実験で、楽しい感情で過ごしている人の汗の臭いを嗅いだ犬たちが他人であっても人なつこい行動を見せたとの研究結果が紹介されています。
犬も飼い主や犬を取り巻く人たちが幸せでいないと、感情を敏感に察知してなつきにくくなるのです。
愛犬がなつかないということで悩んでいる飼い主さんは、イライラしていることが多くないか、泣いていることが多くないかなど、自身の感情面の起伏について見直してみると良いでしょう。
●サイエンス系動画チャンネル「SciShow」で紹介されている実験内容の詳細
お世話するのは最低条件だという考えをもっている人
近年、犬は家族の一員として大切にされるようになり、自分が産んだ子のように可愛がって育てる方も多くなりました。
そんな中、いまだに犬のお世話するという感覚で育てている人も多いのが現状です。
犬のお世話は人の子と同じで飼い主として最低限の行いであり、適切なコミュニケーションをとって関係を築きながらパートナーとして接することが大切です。
難しく捉えてしまう飼い主さんも多いのですが、人の子を育てるのと関係性の築き方はほとんど同じなのではないでしょうか。
楽しい時間を一緒に共有して、しっかりとコミュニケーションをとる。
犬と楽しく気軽にコミュニケーションを取る場合は、犬用のおもちゃがおすすめです。
犬のおすすめおもちゃについては、【2021年最新版】犬のおすすめ定期便おもちゃ3社を比較で詳しく解説をしています。
この毎日の繰り返しで、愛情を持って接すれば接するほど愛犬はなつくようになってくれます。
一貫性のある態度で接することができる人
仕事関係や人間関係など人には色々な事情があり、一貫性にかけてしまうことがあります。
例えば、今日は膝の上に乗っても怒らなかったのに、昨日は怒った。昨日は家の中で走り回っても怒らなかったのに、今日は怒る。
このような一貫性のない飼い主の行動は犬にとっては理解できず、信頼関係の構築にリスクを生じさせ、犬がなつきにくくなります。
一貫性の有無については、精神面の安定と重複する点がありますが、安定した気持ちで接することができる人に犬がなつきやすいのが特徴です。
一生懸命お世話しているのになつかない場合の対処法4つ
ここでは、一生懸命お世話しているのに愛犬がなついてくれないケースを想定して、対処法を4つ紹介します。
お世話しているだけでは犬はなつかない
先述で紹介したように、お世話するのは犬を飼う上での最低限の行いであり、お世話しているだけでは犬はなつきません。
人の子どもと同じような感覚で、適切なコミュニケーションの時間をとって愛犬と接してみると良いでしょう。
愛犬の行動から気持ちを読み取る努力をする
犬は言葉で自分の気持ちを示すことができず、それに加えて非常に我慢強い生き物です。
だからこそ、愛犬の行動や様子をしっかりと観て、愛犬の気持ちを読み取りながら接してあげると良いでしょう。
犬の行動や様子からわかる感情一例は、以下の通りです。
犬の行動や様子 | 考えられる犬の感情 |
いつもは散歩の時にしっぽが上がっているのに、最近やけに下がっている | 疲れていたり体に不調がある |
自分の鼻を舐めてばかりいる | 食事前後以外のケースでは緊張によって鼻を舐めることがある |
眠い時以外にあくびをする | 犬に何かしらのストレスが生じている可能性がある |
優しく飼い主を舐める | 友好的な感情を示していることが多い |
他人の匂いを嗅ぎに行く | その人に興味がある可能性が高い |
尻尾を振る | 楽しい時や嬉しい時に限らないので注意が必要(ストレスや攻撃的な感情) |
尻尾を後肢の間に入れる | 何かに怯えている時が多い |
しつけは愛情を込めて一貫性を保って行う
先述で一貫性についてのお話をしましたが、しつけは一貫性を持って行なうことが信頼関係構築には有効です。
「これはOK・これはNG」ということを明確に決めて、信頼できる飼い主になることで愛犬になついてもらうと良いでしょう。
時間をかけて愛犬との関係を構築する
保護犬を中心にトラウマのある犬や人に裏切られた犬、捨てられた犬のケースでは、すぐに人になつかないのは当然です。
ペットショップやブリーダーから迎え入れた犬も同じですが、なつきやすい犬とそうでない犬には個体差があります。
また、飼い主が自分に犬がなつかないと思っていても、単純に「自立心の強い犬で、なついていないように見えるだけ」いうケースもあるので、焦らずに気長に信頼関係を構築して敬愛されるべく飼い主になることが大切です。
犬がなつかない場合は気長に対策しよう!
今回は、人になつきにくい犬やなつく人の特徴、愛犬がなつかない時の4つの対策など、ドッグトレーナーが幅広く紹介しました。
犬によってなつきやすい犬もいますし、逆になつきにくい犬もいます。
しかし、それが自立心が強いなどの性格的な問題ならば、その犬の個性だと受け止めることも大切です。
保護犬であれば、当然信頼関係を構築するのに時間もかかり、数週間でなつくようになる犬もいれば、数年以上なつくまでに時間がかかる犬もいます。
ぜひ、紹介した対策を試してみて、信頼関係構築に励んで犬になつかれる人になる努力をしてみてください。