愛犬がトイレ以外でうんちをしてしまって、困っている飼い主さんも多いのではないでしょうか?
今回は、そんな飼い主さんのために原因に応じた粗相の対策法をドッグトレーナーが紹介します。
トイレ以外でうんちをしてしまう時は、広い心で気長に対策しましょう。
犬がトイレ以外でうんちする原因別8つの対処法
犬がトイレ以外でうんちするのには、必ず理由があります。
トイレトレーニングが適切でなかったり、精神的な問題を抱えている、病気が原因になっているなど様々な理由があるため、原因に応じた対策してあげましょう。
また、うんちだけでなくおしっこの粗相も同じですが、何かしらの理由があって粗相するため決してむやみやたらに怒らないことが大切です。
うんちだけ別の場所でする時はトレーニングの問題
おしっこはトイレでするのに、犬がうんちだけ別の場所でする時はトレーニングの方法が間違っていた可能性もあります。
犬にとって排尿と排泄は別物で、同じ場所でして良いという認識ができていないことがあります。
一昔前では、粗相した場所に犬の鼻を無理やり近づけて叱っていた方も多かったのですが、この方法は信頼関係を崩すため絶対に行わないようにしましょう。
正しいトイレトレーニングをやり直す
おしっこはトイレでできてもうんちだけ別の場所でしてしまう場合は、トイレトレーニング方法を見直してみましょう。
正しいトイレトレーニングは子犬期に行ったほうが効率よく覚えてくれますが、トレーニング方法を適切に行えば成犬であっても覚えてくれます。
時間はかかりますが、正しいトレーニング方法で愛犬が快適にトイレで排便できるようにしましょう。
なお、適切なトイレトレーニングの方法は記事の最後で紹介します。
わざとトイレ以外でする時は精神的な問題やストレスが原因
愛犬がわざとトイレ以外でうんちする場合は、精神的面の問題が影響していることがあります。
飼い主さんとの適切なコミュニケーションが取れていない、コミュニケーション不足、またはコミュニケーション時間が多すぎてストレスが生じていることもあります。
粗相するときに考えられる精神面の問題は、以下通りです。
- 家族との不適切なコミュニケーション
- 自分に飼い主さんの意識を向けたい時(同居犬が増えた時等)
- 飼い主さんとの上限関係が逆になっている場合
- 運動量が少なすぎる、または多すぎる
精神的な問題を突き止めて解決してあげる
精神的なことが影響して愛犬がトイレ以外でうんちする場合は、根本的な精神的問題を突き止めて問題を解決してあげましょう。
愛犬との時間が少ない場合は、愛犬とのコミュニケーション時間を増やす、同居犬が増えた場合は先住犬のことを第一に考えたストレス対策が大切です。
急にトイレができなくなった時は病気が原因の可能性
うんちだけでなくおしっこもトイレでできなくなった場合は、病気が原因になっている可能性があります。
時に細菌性膀胱炎を中心とした泌尿科系の病気には注意が必要です。
また、水の飲む量が過剰に増えて粗相の回数が増えていたり、トレイ以外の場所でうんちする以外にも他の症状がある場合は早めに動物病院に連れて行きましょう。
粗相以外に気をつけたい症状は、以下通りです。
- 元気がない
- 散歩に行きたがらない
- 尿の色がおかしい
- 下痢や軟便
- 嘔吐する
- 食欲が低下している
- 食欲が過剰になっている
病気を治療するために獣医師に相談する
愛犬がトイレ以外でうんちする場合に病気が可能性として考えられるのであれば、早めに動物病院で検査しましょう。
どんな病気であっても、愛犬のQOL(生活の質)を維持するためには早期発見、早期治療が大切です。
トイレ以外でうんちする時はトイレの設置場所の問題
老犬を中心にトレイの場所が遠すぎる、トイレが落ち着いてできる場所にない、というように設置場所によってうんちだけトイレ以外ですることがあります。
老犬の場合は、老衰や病気によってトイレに行くまでの距離が長すぎてうんちをトイレ以外でしてしまうことがあり、特にこのケースは犬が可哀想です。
また、四肢や関節、椎間板などの病気で炎症や痛みから、トイレまで行きたくないということもあるので注意が必要。
神経質な犬の場合は、トイレの設置場所がドアの付近であったり騒音がする場所というだけでうんちをトイレ以外でしてしまうこともあります。
老犬の場合はトイレの設置場所を変更する
老犬の場合はトイレを寝床に近い場所にしてあげましょう。
また、四肢や関節、椎間板など体に異常がある犬の場合は獣医師に相談するのはもちろん、トイレの設置場所を愛犬の寝床に近くしてあげることで対処できます。
寝たきりに近い犬の場合は、マナーベルトやおむつを活用をおすすめします。
いずれの場合も、トイレ以外でうんちやおしっこをしてしまっても、決して怒らないことが大切です。
不在の時だけトイレ以外でうんちする時は分離不安
飼い主さんがいない時だけトイレ以外でうんちしてしまう犬の場合は、分離不安の可能性が高いでしょう。
分離不安(分離不安症)は、普段自宅に長くいる飼い主さんが飼っている犬に多くみられます。
飼い主さんが自分の視界から見えなくなると極度に犬が不安感を感じてしまい、うんちをトイレ以外でしてしまったり、吠える・破壊するなどの問題行動を起こすといった症状が現れます。
自宅で分離不安対策を行ったり獣医師に相談する
まずは、分離不安の根本的解決に努めましょう。
分離不安の進行度合いによって治るまでの期間が異なります。
重度の場合は精神医学や犬の行動学を専門とした獣医師に相談すると良いでしょう。
動物病院での治療には、重度の場合は精神安定剤を処方される「薬物療法」や行動自体を改善するするための「行動療法」、または両方が行われます。
自宅で行う分離不安対策のポイントは、以下通りです。
- 愛犬が自宅で安心して過ごせるように生活環境を整える
- 知育オモチャや噛むオモチャで退屈しのぎできるようにする
- 犬のリラックス音楽を活用する(最近では無料の音楽あり)
- 留守番は短い時間から少しずつ慣らす
- 警戒心が強い犬はドーム型のベッドを活用する
- 留守中に愛犬が眠れるように出かける前に適度に運動させる
- 出かける時は大袈裟な素振りを見せずに何気なくいなくなる
- 飼い主さんの声が届くペットカメラを設置する
子犬の場合は排便回数が多いのが原因でトイレ以外でうんちする
子犬がトイレ以外でうんちしてしまう場合は、排便回数が多いことが原因として考えられます。
子犬によって個体差や月齢で差がありますが、1日で排便を5〜6回する犬もいます。
そのため、トイレが汚れているとトイレ以外でうんちをしてしまうので気をつけましょう。
トイレを常に清潔に保つ
トイレは、排尿・排泄の都度きれいに掃除しましょう。
犬はトイレが汚いとトイレ以外でうんちしたり、トイレ以外でおしっこしてしまいますが、都度掃除しないと衛生的にもよくありません。
長く留守番させる場合は、トイレを数カ所に設置して、トイレのトレーやシーツサイズも大きめの商品を使用すると良いでしょう。
老犬の場合は老化現象が原因で粗相する
老犬の場合は、老衰によって泌尿器が衰えたり、四肢や関節の衰えによってトイレ以外でうんちやおしっこをしてしまうことがあります。
その他、認知症が原因になっていることもあるので、粗相以外にも症状がみられる場合は獣医師に相談することが大切です。
なお、老犬の場合は肛門にある「肛門括約筋」の衰えが原因で我慢できずに、トイレ以外でうんちしてしまうこともあります。
認知症の主な症状は以下通りです。
- 粗相が増える
- 食事を食べても食べても欲しがる
- 昼夜逆転して夜活動する
- 夜泣きがひどくなる
- 狭い場所から出れなくなる
- グルグルと回るように同じ場所を歩き回る
- 呼びかけに反応しなくなってくる
獣医師に相談する
認知症の効果的な治療法はありませんが、症状によっては獣医師に睡眠薬をすすめられることがあります。
また、自宅では昼夜逆転しないように適度に日中に運動させたり、機能性成分(サプリメント)のEPA・DHAを活用すると良いでしょう。
粗相の回数が多い老犬については、犬用オムツの活用もおすすめです。
トイレシーツの汚れが原因でトイレ以外でうんちする
単純にトイレシーツの汚れや臭いが嫌でトイレ以外でうんちする犬もいます。
きれい好き、または神経質な犬も多く、犬の嗅覚は人間より数千倍以上(個体差あり)優れていると言われているので、自分の排便や排尿の臭いが嫌で粗相してしまうケースが多いのが特徴です。
トイレを数カ所に設置してあげる
トイレシーツが汚れていると粗相の原因になるだけでなく、病気リスクを高めるため都度確認するのも大切です。
飼い主さんの留守時間が多い犬の場合は、トイレを数カ所に設置したり大きいトイレを活用すると良いでしょう。
おすすめのトイレシーツは、犬用トイレシートのおすすめランキング20選|選び方なども徹底調査を参考にしていただければ幸いです。
犬が粗相する時に考えられる病気
犬が粗相を繰り返す場合は、病気も原因として考えられます。
ここでは、粗相がうんちのみの場合、おしっこのみの場合、両方の場合に考えられる病気の種類について紹介します。
粗相がうんちの場合に考えられる病気
愛犬がうんちのみトイレ以外でしてしまう時は、肛門括約筋に何かしらの異常があったり、大腸や直腸に何かしらの異常がある、椎間板ヘルニアや脊髄腫瘍が生じている可能性があります。
腸に問題があるケースでは、下痢や軟便になることが多いので注意が必要です。
なお、椎間板ヘルニアについては、症状の1つに神経麻痺による排尿障害があり、犬の粗相が増えてしまいます。
粗相がおしっこの場合に考えられる病気
トイレ以外でおしっこだけしてしまう場合は、膀胱炎や尿路結石症、ホルモン反応性尿失禁が可能性として考えられます。
なお、犬では膀胱炎による粗相が多く、膀胱炎には主に、細菌感染によるものと膀胱結石による膀胱炎の2種類があります。
うんちもおしっこも粗相する場合に考えられる病気
犬がうんち、おしっこ問わずに粗相してしまう場合は、認知症(痴呆)を疑います。
認知症の粗相以外の症状については先述で紹介しましたが、認知症が疑われる場合は早めに獣医師に相談して、必要に応じて犬用オムツを活用すると良いでしょう。
犬のトイレトレーニングの基本
トイレトレーニングは、叱らずに気長に考えて褒め伸ばしで行うことが大切です。
子犬はもちろん、犬はそもそもトイレでうんちやおしっこをする習性のない生き物ですので、失敗して当たり前だと思いましょう。
効率的なトイレトレーニングの手順は、以下通りです。
手順 | 具体的な方法 |
Step1 | 犬をハウス内に入れてください。なお、ハウストレーニングはトイレトレーニングの前に行います。 |
Step2 | 愛犬を観察して、おしっこやうんちをしそうな仕草がみられたら、犬をトイレに移動させます。 |
Step3 | トイレでしない場合は、10分程度はそのままうんちやおしっこをしないか様子をみます。 |
Step4 | トイレでうんちやおしっこをしたら、大袈裟なくらいに褒めてあげましょう。おやつを使うと効率よく覚えます。 |
Step5 | トイレから犬を出してあげ、室内フリーで遊ばせてあげましょう。 |
トイレを覚えたら、サークルやケージを取り除いて、トイレトレーのみで排泄できるようにします。
しかし、それまではトイレトレーニング用にケージやサークルを準備しておくことをおすすめします。
トイレ以外でうんちする時は、原因に応じた対処法を!
今回は、愛犬がトイレ以外でうんちをしてしまって困っている飼い主さんのためのお役立ち情報を紹介しました。
犬にとって、トイレでうんちやおしっこをするのは生物学上、決して当たり前のことではありません。
「人の都合でトイレにしてもらう」という認識を忘れずに、粗相しても決して怒らずに大きな心で対処してあげましょう。
なお、トイレ以外でうんちしてしまう犬の場合は、考えられる原因に応じて対処法をいくつか試してみることが一番大切です。
原因 | 対処法 |
うんちだけ別の場所でする | 正しいトイレトレーニングをやり直す |
精神的な問題の場合 | 精神的な問題を突き止めて解決してあげる |
病気が原因の場合 | 病気の治療を行うために獣医師に相談する |
トイレの設置場所が原因の場合 | 犬が落ち着いてうんちできるトイレ場所か見直す |
留守番の時だけトイレ以外でうんちをする | 分離不安症の場合は分離不安を治す |
子犬で排便回数が多い場合 | トイレを常に清潔に保つ |
老衰が原因の場合 | トイレの設置場所を寝床の側にする |
トイレシーツの汚れが原因の場合 | 都度トイレシーツを変える・吸収性の良いトイレシーツにする |