犬が飼い主さんの膝の上に乗ってくることはよくありますが、この行為には様々な犬の心理が隠されています。
状況によって、やめさせた方が良いケースもありますが、自宅で飼い主さんの膝の上に乗ってくるだけの場合は無理にやめさせる必要はありません。
今回は、犬が膝に乗ってくる6つの理由や、やめさせなければいけないケース、注意点やしつけ方法についての記事です。
この記事の簡単なまとめ
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犬が乗ってくるのは上下関係が逆になっているとは限らない
愛犬が膝の上や体の上に乗ってきて上下関係が逆になっているのではないか、と心配される飼い主さんも多いのではないでしょうか。
ドッグトレーナーという経験上多くの犬と接してきましたが、膝を中心に飼い主さんの上に愛犬が乗ってくるのは上下関係の乱れが原因とは限りません。
上限関係が原因になっているケースはごく稀で、飼い主さん自らが習慣化させてしまった子犬期からの習性や飼い主さんに対する愛情表現、または安心感を得たいという気持ちから乗ってくるケースが多いのが特徴です。
小型犬を中心に膝の上に乗ってくる犬は多くいますが、問題となるケースと問題にならないケースの見極めをしてあげることが重要です。
なお、見極めについては「犬が膝の上に乗ってくる時に注意したいこと」で、詳しく紹介します。
犬が膝の上に乗ってくる6つの理由
犬が膝の上に乗ってくる理由は、主に以下6つの理由です。
- 子犬期からの習慣
- 愛情表現
- 安心感を得るため
- 寒さによるもの
- 飼い主さんに対する要求
- 上下関係の乱れ
ここでは、犬が膝の上に乗ってくる上記理由について詳しく紹介します。
子犬期からの習慣
子犬の頃から飼っている場合は、子犬期からの習慣で飼い主さんの膝の上に乗ってくることがあります。
子犬期からの習慣の場合は、子犬期に可愛がりすぎて飼い主さんが座りながら抱っこする習慣をつけてしまい、成犬になっても犬が膝の上に乗るケースが多いのが特徴です。
犬は人の子どもとは違います。
そのため、「何歳になったから膝の上に乗ってくるのはやめなさい」などと、犬の年齢によって制限をつけるのは好ましくありません。
子犬期から習慣化してしまっている場合は、飼い主さんの育て方の影響が強いので無理にやめさせるのは可哀想です。
公共のベンチを中心にマナーとして犬を乗せてはいけない場所も多くあるので、「家の中では良いけど外ではダメ」ということを教えてあげなければいけません。
場所に応じてしつけが可能ですので、愛犬にストレスが生じないよう臨機応変に対応してあげましょう。
愛情表現や甘えたい感情で上に乗る
犬が膝の上や体の上に乗ってくる理由の1つに、愛情表現や甘えたい気持ちがあります。
犬は歴史的に長く人と生活を共にしてきた生き物で、飼い主さんとのコミュニケーションや関係性をとても大切にします。
甘えたくて膝に乗ってくるときも、愛犬とのコミュニケーションの時間として受け取る必要があり、無理にやめさせるのは好ましくありません。
ただし、寝ているときに上に乗ってきて腰を振るようなことがある場合は、すぐに愛犬を自分の上からおろして習慣化しないように対策しましょう。
このケースでは、単純に自分の方が飼い主さんより優位な立場であると主張していることが殆どです。
なお、個体差があるものの以下のような犬種には、特別甘えん坊の犬が特に多いと言われています。
- ヨークシャー・テリア
- トイ・プードル
- ポリッシュ・ローランド・シープドッグ
- コーイケルホンディエ
- ウィペット
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- ポメラニアン
- ゴールデン・レトリーバー
- フレンチ・ブルドッグ
- セント・バーナード
飼い主の膝に乗るときは安心感を得るため
テレビを観ているときや座っているときに膝の上に乗ってくる犬の多くは、飼い主さんと触れていることで安心感を得ていることがあります。
そのため、「この人の側にいれば自分は安全である」という気持ちから膝の上に乗ってくることがあります。
安心感を得るために愛犬が膝の上に乗ってくる場合は、しっかりとした上下関係ができていて飼い主さんが頼れるリーダーになっている証拠です。
寒さが理由で膝の上に乗る
寒さに弱い小型犬が膝の上に乗ってくる場合や、冬や秋の寒い季節に限って膝の上や体の上に乗ってくるケースでは、寒さが原因です。
犬は基本的に寒さに強いと言われていますが、以下のような犬種は寒さに弱い犬が多い(個体差や育った環境によって異なる)ので温度管理に気をつけましょう。
寒さに弱い犬種一覧
- トイプードル
- チワワ
- パグ
- パピヨン
- ポメラニアン
- ブル・テリア
- マルチーズ
- イタリアン・グレーハウンド
- ミニチュア・ピンシャー
- ボストン・テリア
- フレンチ・ブルドッグ
- ヨーク・シャーテリア
よじ登ってくる時は抱っこしてほしい
飼い主さんが立っているときに膝や足に向かってよじ登ってくるような姿勢に犬がなっている場合は、抱っこしてほしいとアピールしてることがあります。
超小型犬や小型犬に「抱っこして」と、自分の意思をアピールする犬が多く見受けられます。
しかし、甘やかしすぎてしまうと分離不安症の原因となったり、上下関係の乱れにつながって問題行動の原因になるケースがあります。
愛犬に愛情をかけることはもちろん大切ですが、甘やかしすぎは犬にとってもよくない為、以下のような分離不安症の症状が見られる場合は特に注意しましょう。
分離不安証の主な症状
- 飼い主が視界からいなくなると吠えてしまう
- 粗相が多くなって、トイレ以外の場所で排泄してしまう
- ヨダレが異常に多くなってしまう
- 四肢を中心に体を舐め続ける
- 犬自身の身体(特に四肢や尻尾)を噛んでしまう
- 家具などの破壊行動をしてしまう
- 長時間飼い主さんが留守になると嘔吐や下痢をしてしまう
- 床を過剰に掘るような仕草をする(寝るとき以外)
上下関係が逆になっている
飼い主さんの上に乗って腰を振ったりする場合は、上下関係が逆になっている可能性が高いでしょう。
このようなケースでは注意が必要。
愛犬とコミュニケーションをたくさんとって愛情を注ぐことは大切ですが、上下関係が逆になってしまうと、結果犬の精神が不安定になってしまいます。
そのため、飼い主に腰を振ったりする場合は必ずやめさせましょう。
膝の上に乗ってくる犬の効率的なしつけ方法
効率的なしつけの方法は、下記のとおりです。
- 膝の上に乗る習慣をつけないことが一番大切
- 叱らずに都度膝から下ろしてダメだと認識させる
それぞれ詳しく解説していきます。
自宅で飼い主さんが座っているときに膝の上に乗ってくるのならば、無理にやめさせる必要はありません。
しかし、どうしてもやめさせたい場合は、以下のようにしつけをしましょう。
子犬の場合は膝に乗せる習慣をつけない
膝の上に乗ってくる子犬のしつけでは、膝の上に乗せるという行為自体を経験させないことが一番大切です。
子犬を迎え入れたばかりの頃は、可愛さゆえに、どうしても膝の上に乗せたり抱っこしたりしてしまいがちです。
成犬になってからも膝の上に乗せて良いのであれば問題ありませんが、特に中型犬や大型犬で、体が大きくなってから膝の上に乗せたくない場合は注意が必要。
成犬が膝の上に乗ってくる場合は都度膝から下ろす
子犬期からの習慣で膝の上に乗ってしまう犬の場合は、既に習慣化しているので治すまでに時間がかかります。
習慣に限らず、甘えやスキンシップが原因であっても、どうしてもやめさせたい場合は都度膝から下ろすことを繰り返して「膝には乗ってはいけない」ということを気長に教えてあげましょう。
飼い主さんの上に乗って腰を振る、分離不安になるほど甘やかしてしまった、という2つのケースでは、極力しつけすることをおすすめします。
犬が乗ってくる時に注意したい2つのこと
犬が乗ってくるときに注意したいことは、下記のとおりです。
- 飼い主以外にはさせないこと
- 他犬へのマウンティングはさせないこと
それぞれ詳しく解説していきます。
来客を中心に飼い主さん以外の膝に乗ったり他犬の上に乗る場合は、トラブルの原因となるので直ちにやめさせなければいけません。
飼い主以外の場合は要注意
ドッグランやドッグカフェ、公共の場所で飼い主さん以外の膝の上に乗ってしまう場合は、注意が必要です。
その他、他人の服に土をつけてしまたったりヨダレをつけてしまうこともあるので、他人に対してこのような行為をする場合は直ちにやめさせましょう。
他犬の上に乗るのはやめさせなければいけない
他犬の上に乗る場合は、自分の立場が上だと主張しているケースが多く、犬同士の喧嘩の大きな要因になります。
特に他犬の上に乗って腰を振るような行為「=マウンティング」をする場合は、直ちにやめさせましょう。
マウンティングによるトラブルをドッグランでよく見かけますが、大抵の飼い主さんは愛犬が他犬にマウントされれば不快な気持ちになります。
また、マウンティングは噛み付くなどのトラブルに発展する可能性が高いため、絶対にやめさせましょう。
犬が膝の上に乗ってくる時は原因に応じてしつけを行おう!
今回は、犬が飼い主さんの膝に乗ってくる理由ややめさせたい場合の効率的な方法、注意点など幅広く紹介しました。
犬が膝の上に乗ってくるのは決してネガティブな要因だけでなく、愛情表現であったりコミュニケーションの一環であったりします。
ご紹介した通り、やめさせなければいけないケースとやめさせる必要がないケースがあるので、是非今後の愛犬との生活にご活用ください。
この記事の簡単なまとめ
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