愛犬がドッグフードを食べないという悩みはよく聞きますが、犬がドッグフードを食べない理由は様々です。
ドッグフードを食べないと、飼い主さんとしては心配になってしまいますが、まずは原因を追求してその原因を根本的に解決してあげることが何より大切です。
今回は、犬の管理栄養士が、ドッグフードを食べない原因別の対策法やライフステージ別の食欲低下の理由、犬がドッグフードを食べない時に考えられる病気の種類など詳しくご紹介します。
犬がドッグフードを食べない主な原因と対策法
犬がドッグフードを食べない理由は、病気の他に運動不足や単純にお腹が減っていないケース、好き嫌いで食べないなど様々です。
ここでは、犬がドッグフードを食べない主な理由と対策法について、詳しくご紹介します。
病気が原因の場合は獣医師に相談する
病気による吐き気や痛み、炎症や体の気だるさなどで、犬がドッグフードを受け付けなくなることが多くあります。
このようなケースでは、大抵の場合が他の症状も併発しているため、ドッグフードを食べないこと以外に、愛犬に異変がある場合は早めに動物病院で検査してもらうことをおすすめします。
食欲低下以外の犬の症状の一例としては、元気がない、下痢や嘔吐、血便を中心とした消化器系症状がある、運動したがらないなどが挙げられます。
普段と違う愛犬の様子がないか、細かく確認してあげると良いでしょう。
また、他の症状が併発していないケースであっても、子犬、成犬、老犬にかかわらず、定期的な動物病院での健康診断は必須ですので年に1〜2回は健康診断を受けさせることをおすすめします。
運動不足の場合は適度な運動をする
愛犬がドッグフードを食べない理由の1つに、運動不足があります。
犬によって適度な運動量は異なりますが、小型犬で1回20分程度を1日2回程度、中型犬や大型犬の場合は1回30分〜1時間を1日2回程度行っているか見直してみましょう。
犬のサイズが同じでも、犬種によっても犬の生活環境によっても適度な運動量は異なります。
運動量が少なすぎる場合は、噛みつきや破壊行動、吠えるなどの問題行動が生じているケースが多いのが特徴ですので、このような問題行動が起こっていないか確認することをおすすめします。
ちなみに、犬が過度に疲れるほどの運動をさせるのも、ストレス要因になってしまいドッグフードを食べない原因になります。
散歩中に尻尾が下がっているなどの愛犬の疲れている様子が見られる場合は、運動量を減らすことも大切です。
おやつが多すぎる場合はおやつを減らす
単純におやつが多すぎて、犬がドッグフードを食べないこともあります。
一般的に犬の栄養バランスの乱れを防止するためには、おやつの1日の量は食事全体の2割以内だと言われていますが、ダイエットが必要な犬や主食のドッグフードを食べない犬の場合は1割以内にとどめることをおすすめします。
おやつは効率的な犬のしつけやトレーニング、愛犬とのコミュニケーションには大切ですが、愛犬がドッグフードを食べない場合は、おやつを与えすぎていないか確認しましょう。
食事量が見合ってない時は、給与量を見直す
ドッグフードの裏ラベルには、大抵の場合給与量の目安が書かれていますが、これはあくまで目安にすぎません。
運動量が多い犬や室内フリーで飼育している犬の場合、ドッグフードの量が給与量目安より多くなることがあり、逆に運動量が少ない犬については、運動量の多い犬よりエネルギーを発散しないため、ドッグフードの量が多すぎてお腹が減らずに食べないこともあります。
ドッグフードを与えるときは、給与量目安を踏まえた上で愛犬のBSC(ボディコンディションスコア)を確認しながら、愛犬に適したドッグフードの適正量を見極めていきましょう。
ちなみに、BCSとは愛犬の見た目と肋骨などを触ったときの感触で肥満度合いを評価する方法で、インターネット上で評価方法を確認することができます。
好き嫌いの場合はドッグフードを変える
好き嫌いが多い犬の場合は、ドッグフードを変えたりローテンションで数種類のドッグフードを与えると良いでしょう。
犬によって香りや味の好みが違いますが、一般的には水分量の多いウェットフードの方がドライフードより嗜好性が高いのが特徴です。
また、ドライフードでも、動物性タンパク質である肉や魚などの割合が多いドッグフードも食べない犬の嗜好性を高めるために効果的ですので、ぜひ試してみてください。
そのほか、ドッグフードの切り替えが難しい場合は、犬用のトッピングふりかけをドッグフードにかけてあげたり、ドライフードであればふやかして香りを強めてあげるのもおすすめです。
詳しいドッグフードのふやかし方は、ドックフードのふやかし方を徹底解説【ふやかしが必要な年齢も解説】を参考にしていただければ幸いです。
ストレスが原因の場合はストレス要因をなくす
ストレスが継続的にかかっていたり、短時間であっても極度のストレスを感じた場合、犬がドッグフードを食べなくなることがあります。
犬の大きなストレス要因としては、環境や家族の変化、飼い主との適切でない関係性、運動不足や極端に多すぎる運動、病気による体の痛み、睡眠不足などです。
犬によって神経質でちょっとした音などがストレス原因となり、ドッグフードを食べないなどの問題が生じることもあるので、日頃から愛犬の様子をしっかりと観察して、ストレスサインに気づいてあげられるようにしましょう。
老化が原因の場合は食事内容を見直す
老化が原因でドッグフードを食べないときは、食事内容を見直してみましょう。
特に運動量が極端に少なくなっている犬については、消費するエネルギー量にドッグフードの量が見合っていないケースが多いのが特徴です。
また、犬も老衰によって代謝能力が低下すると、摂取したカロリーを消費できないケースもあります。
老犬の場合は年齢とともに匂いや味の好みが変わったり、歯が衰えて痛みや炎症でドッグフードを食べないことがあるので、その原因に応じた対策を行うことが重要です。
特に、老犬のケースでは、硬いドライフードをかみ砕くことができないケースもあるので、ウェットフードに切り替えてあげることをおすすめします。
季節の変わり目が問題の場合は温湿度管理をする
季節の変わり目に体調を崩したり、雨の日の気圧変化の影響で不調が続いてドッグフードを食べない犬もいます。
特に、季節の変わり目は、下痢や嘔吐などの消化器系症状も出やすいので、温度と湿度をしっかりと管理してあげるように心がけましょう。
なお、犬種や個体差、これまでの生活環境によって適切な温湿度は異なりますが、一般的には犬が快適に感じる気温は22℃、湿度は60%だと言われていますので、この数値を目安に愛犬の様子を確認しながら温湿度を調整してあげましょう。
子犬、成犬、老犬によってドッグフードを食べない場合の解決策
犬がドッグフードを食べない理由をご紹介しましたが、犬のライフステージによってドッグフードを食べない主な原因が異なります。
犬によって理由は様々ですが、ライフステージ別の理由についても合わせてご確認ください。
【子犬】食べない理由は、主に環境の変化
子犬がドッグフードを食べない主な理由は、環境の変化や感染症関係の病気です。
ブリーダーやペットショップから迎え入れたばかりの子犬の場合は、時間と共に環境に慣れて食べるようになることもありますが、環境の変化になかなか適応できない犬もいます。
その場合は、嗜好性の高い子犬用ウェットフードを与えてあげましょう。
また、元気がない、下痢が続いている、散歩に行きたがらないなど、ドッグフードを食べないこと以外にも症状がある場合は、感染症や病気の可能性もあるので、必ず動物病院で検査を行いましょう。
【成犬】食べない理由は、好き嫌い
成犬になると、おやつなどの香りを覚えていて、味や匂いの薄いドッグフードを食べなくなることもあります。
特にトイ・プードルのように頭が良いと言われているような犬種の場合は、おやつの香りや味を覚えていて、おやつは食べるのにドッグフードは食べないというような好き嫌いが生じやすいのが特徴です。
好き嫌いが多い犬の場合は、嗜好性の高いドッグフードをローテーションで与えたり、おやつを減らして総合栄養食である主食を多く与えるようにしましょう。
【老犬】食べない理由は、主に病気
老犬がドッグフードを食べない理由は、主に病気による食欲低下です。
食欲低下が症状として現れる主な病気については後ほど紹介しますが、ただの老化現象だと放置せずに、定期的な動物病院での検査はしっかりと行うようにしましょう。
おやつは食べるけどご飯を食べない、という老犬の場合は、食の好みの変化が原因になっていることもあるので、ドッグフードを変えたり犬用のトッピングふりかけなどを活用するのもおすすめの対策法です。
ドッグフードを食べないときのおすすめフード3選
健康体の犬でドッグフードを食べない場合は、ドッグフードを変えてあげる必要があります。
ここでは、ドッグフードを食べない犬におすすめの嗜好性の高い健康系ドッグフード3選をご紹介します。
ブッチドッグフード|成犬におすすめの肉をふんだんに使用したドッグフード
ブッチのドッグフードは、SNSでも評判の嗜好性の高さで有名なドッグフードで、消化しやすい生肉を再現している動物性タンパク質の多いドッグフードです。
ドッグフードを食べない犬には特におすすめの商品ですが、食欲向上だけでなく、穀物不使用のグレインフリーや犬の体に危害を加えやすい人工添加物も不使用で、獣医師も推奨しているドッグフードです。
対象年齢 | 全犬種 |
総合栄養食 | ○ |
人工添加物 | 不使用 |
グルテンフリー(小麦不使用) | ○ |
動物性タンパク質 | 最大92% |
ニュートロのワイルドレシピドッグフード|種類が選べるコスパの良いウェットフード
ニュートロのワイルドレシピドッグフードの中でも、ウェットタイプのトレイシリーズは、香り豊かで嗜好性が高まりやすいのが特徴です。
動物性タンパク質を多く使用しているので、肉肉しい香りが犬の食欲をそそるコスパが良いドッグフードです。また、バリエーションが多いので愛犬の好みや年齢、好き嫌いによって種類を選ぶことができるのもおすすめポイントです。
対象年齢 | 種類によって異なる |
総合栄養食 | ○ |
人工添加物 | 増粘多糖類のみ使用 |
グルテンフリー(小麦不使用) | ○ |
動物性タンパク質 | 種類によって異なる |
テラカニス|オリジナリティのある新鮮ドッグフードを老犬に!
テラカニスは、伝統的なお肉屋さんが作ったドッグフードで、日本のみならず様々な国で愛用されている嗜好性の高いドッグフードです。
そのまま与えることができる「コンプリート食」と、お野菜を自分で追加して与えるタイプの「ピュアミート」、お肉を自分で追加して与えるタイプの「ガーデンベジタブル」の3種類があり、その中でもレパートリーが豊富に揃っています。
好き嫌いが多い犬の場合は、ピュアミートやガーデンベジタブルを使用して飼い主さんが愛犬の好みに合わせてオリジナルドッグフードを簡単に作ることができるため、ドッグフードを食べない犬におすすめです。
また、食物アレルギーがある犬のアレルゲン除去食を作るのにも役立つでしょう。
対象年齢 | 種類によって異なる |
総合栄養食 | ✖️ |
人工添加物 | 不使用 |
グルテンフリー(小麦不使用) | ○ |
動物性タンパク質 | 種類によって異なる |
犬がドッグフードを食べないときに注意したい3つの病気
食欲低下を症状とする犬の病気は数多くありますが、ここでは、犬がドッグフードを食べないときに特に注意したい3つの病気をご紹介します。
老犬は特に注意したい悪性腫瘍
犬の死因第一位が悪性腫瘍ですが、悪性腫瘍は癌性の極度な痛みや体の不調が大きく生じやすいため、元気がなくなる、ドッグフードを食べないなどの症状が出やすいのが特徴です。
特に老犬になってくると悪性腫瘍の発症率は急激に高まり、J-Stageの調査によると悪性腫瘍の発症率の年齢平均は、犬において12才4ヶ月とのことです。
老犬でドッグフードを食べない場合は、悪性腫瘍など様々な病気の可能性を考えて、動物病院で検査を行うことをおすすめします。
歯周病を中心とした口腔内の病気
歯周病や歯髄炎などの口腔内の病気によって、痛みや炎症、出来物が生じてドッグフードを食べなくなることがあります。
また、口腔内にもメラノーマを中心とした腫瘍ができる可能性があり、腫瘍が大きくなることでドッグフードを食べることができなくなる犬も多くいます。
口腔内のトラブルについては、動物病院で適切な治療を受けることはもちろんですが、食事を飲み込みやすいウェットフードやペースト状のフードに切り替えたり、ドライフードの場合はお湯でふやかして柔らかくした状態で与えましょう。
なお、ドライフードをふやかす場合は、人の手でも触れるくらいの50℃程度で15分程度かけてじっくりとふやかすことをおすすめします。
熱湯でふやかすと、ドッグフード内の栄養素が壊れてしまいやすいので、注意しましょう。
胃腸炎を中心とした消化器官の病気
胃腸炎や腸管腫瘍などの消化器官に関わる病気は、犬の食欲低下の原因になりやすいので注意が必要です。
また、誤飲や誤食によって腸に異物が詰まっているケースでも、ドッグフードを食べないなどの症状が引き起こされることがあります。
ドッグフードを食べない以外にも、愛犬に嘔吐や下痢、軟便などの症状が併発している場合は、特に消化器官の病気に注意が必要です。
愛犬がドッグフードを食べないときは、原因に応じた対策をとろう!
愛犬がドッグフードを食べないときは、何より食欲が低下している原因を追求して原因に応じた対策を行うことが大切です。
ドッグフードを食べないだけでなく、元気喪失など、他の何かしらの症状がみられる場合は、早めに動物病院で検査を行いましょう。
健康体の犬においては、大抵の場合が好き嫌いによるもので、おやつは食べるけど主食となるドッグフードは食べない犬も多くいますので、その場合は、嗜好性の高いドッグフードをローテーションで使うことをおすすめします。
今回紹介したドックフードまとめ
ブッチドッグフード | 成犬におすすめの肉をふんだんに使用したドッグフード |
ニュートロワイルドレシピ | 種類が選べるコスパの良いウェットフード |
テラカニスドッグフード | オリジナリティのある新鮮ドッグフードを老犬に |